アウトレット 美本・初版第一刷『寄席文字字典』橘右近・橘流寄席文字家元 1980 初代・二代ビラ清 初代ビラ辰 集古庵 八代目桂文楽 新宿末廣亭 上野鈴本

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商品情報

昭和55年(1980)に、グラフィック社から出版
された橘右近(橘流寄席文字家元)著の『寄席文字
字典』(初版第一刷・)である。寄席文字の
すべて網羅されており、実にわかりやすい!

かつて、私が所属していた新聞社の大先輩の作家
の司馬遼太郎は「本の価値は、古書となった時の値
段で決まる!」と申されていた。司馬遼はベストセ
ラーで稼いだ金のうち、一冊の本を書き上げるのに
数千万円もの金を資料代に投じた。神田神保町の高
山書店はじめ、彼の手足となって蒐集した数万冊は
東大阪の司馬遼太郎記念館に所蔵されている。

ちなみに、本の鑑定については「資料的価値、史
料的価値に尽きる」と断言していたが、本書『寄席
文字字典』は第一級の大衆芸能資料と、私は太鼓判
が押せる。

【橘右近基礎データ】
●生年月日 明治36(1903)年11月18日
●没年月日 平成7(1995)年7月3日
●出生地 東京府・芝浜松町(現・港区)
●本名 椙田兼吉(すぎた・かねきち)
●前名 柳家さくら(二代目)
●おもな受賞名 文化庁長官表彰(平成2年)

【橘 右近・略歴】
元来の寄席好きがこうじて、家業の庭師を継がず、
大正8年18歳で、柳家さくら(後の三代目つばめ)に
弟子入り。噺家としては二ツ目までのぼった。

その後、思う事あって、各種興行ビラの名手・ビ
ラ辰の家に通い、見様見真似で寄席文字を書き始め
た。右近は、種々の老舗ビラ屋が絶える中で、江戸
文字の技法の高低や美の浅深を、途絶えぬようにと
いう危機感から研鑽し、その極意を真眼した。人の
才能を開化させるのは、自らの無限の恋脳を自覚す
ることだ。神田須田町の寄席・立花亭に見込まれて、
噺家を潔く廃業。心機一転、寄席を側面から支える
道に精進することを決意した。

昭和24年、この道で一本立ちした陰には、黒門町
の師匠こと八代目桂文楽の存在があった。人格者の
条件とは、隠れて人のために徳を積むことができる
かに尽きる。橘右近は、「寄席文字橘流」を広く立
ち上げて家元となる。一時は神田立花、人形町末廣、新宿末廣亭、新三河島まつみ亭などの看板や噺家の
名札、番組表や宣伝ポスターを一手に引き受けた。
本書『橘右近の寄席文字』の一字一句は、右近師が
魂を墨にしたためた作品の集大成である。

【 目 次 】
(巻頭挨拶)
・「舌 代」 宇野信夫
・「右近さんのこと」 柳家小さん(五代目)
(カラーグラビア)
●巻頭口絵 ・初代ビラ清 明治五年
・柳三遊両巨頭のビラ「三遊亭圓朝」「談洲楼燕枝」
・二代目ビラ清
・初代ビラ辰 明治三十年代「三遊亭圓・同金朝・遊三、他」
・橘右近 昭和五十五年新宿末廣亭ポスター
・橘右近 芝落語会のポスター
・橘右近 レコードジャケット「八代目桂文楽」
・橘右近「笑点カレンダー 文楽・志ん生二人会」(架空)
・橘右近 千社札「集古庵 橘右近」、他。

( 本 編 )
●寄席文字のこと
●寄席文字の特徴と筆法
●常用漢字
●人名用漢字
●常用外多用漢字
●ひらがな・カタカナ
・索引

【本書の古書相場】
ヤフオクでは、直近で今年の5月24日に本書と
同じ本が「」で落札されているが、初版
でない上にの2刷でカバーは、裏左下、破れがあります。背上
下、小破れがあります。日焼け・痛み、少々シミ・
擦れ傷もあります。中は、少々日焼け・傷みがあり
ます・・・」

ネットの「日本の古本屋」では、昭和59年の初
版5刷で「」の一点のみ出品されている。
ネットのアマゾンではから3万5000
円で6点出品しているが、そのうち冊のみで、残り4冊は「可」をつけている。

【当時の出版事情】
なお、本書が出版された昭和55年当時の読売新
聞の月決め料金は2千円(現在は)。
手紙等の封書・普通郵便が(在は)だ
った頃の本書は、現在の6千円以上に相
当する。この上ない良書だが、マニアックな本なの
で、一気に大部数が売れることはなく、出版社は全
国の大型書店に置かれる最低部数しか発行しなかっ
た。一定期間に売れた少部数を初版増刷というやり
方で追加で出荷した。私が記憶している範囲では、
初版増刷は10刷には届いていない。

資本力の乏しい中小の出版社は、在庫を保管する
倉庫代や売れ残りを断裁する費用を節約するために、この方法しか手段はなかった。ために、ある種の目
利きの図書館司書がいる公立図書館と大学図書館、
そして熱心な寄席文字ファンのみが購入し、著者が
亡くなり在庫がはけるまでは重版されない。

当時、講談社のように、年間で2千冊以上もの書
籍を出版している版元は、売れっ子作家や話題性の
高い本は、初版を5万部、10万部と印刷したこと
があった。大部数を刷るメリットは、全国津々浦々
の書店に配本され、大部数がベストセラーというウ
ェーブを巻き起こし、時にはミリオンセラーを生む。
一方、中小出版は、いくら良書を発行しても、欲し
い人が気づかれずに絶版の運命をたどる。

ここが大切である! ところが、古書業界では、入手し安いミリオンセラーには安い値しかつかない。『ハリー・ポッター』のシリーズがそうだ。一方、
本書『寄席文字字典』のような資料性の高い本は、
稀少価値と気がついた時に買わないと、入手困難と
なることがわかり、その価値がわかるコレクターは
高値でも買い求める。司馬遼が「本の価値は、古書
となった時の値段で決まる!」と言った根拠は、こ
こにあるのだ。

【本の 個人所蔵の保存の古書店のような遜色はない。すこぶるよいコンデ
ィションと言ってよい。送料は当方

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